どうしてか最近獄寺の様子がおかしくて、話をしている最中にリボーンが迎えに来て獄寺を攫っていったり、一緒に帰ろうと思っているときに限って先に帰ったりする事がしばしばある。 かすり傷も増えたようだしに内緒で何かをやるのは構わないが、やるならしっかりとわからないようにやって欲しいと思うのは自分だけだろうか。 束縛するつもりもないし詮索しようとも思わないが、少しくらい話してくれてもいいんじゃないかと思うのはこちらの身勝手なのだろうか。 「最近さ、付き合い悪いよね」 「は?」 急に何を言い出すのかというような顔で獄寺はを見つめたが、校舎の窓から見える空に視線を合わせたままこちらを見ようとはしない。 付き合って三ヶ月ほど経って何の付き合いが悪いのかと思ったが、一向に目をあわそうともしないに段々不安になって来た。 好きだ、付き合って欲しいといったのも獄寺のほうで、悩んで考えた結果だけに了承の返事を得たときは凄く嬉しくて、ツナや山本にも何かあったのかと聞かれるほど態度に出ていたらしい。 同性だということと獄寺がマフィアだという事もあり、との付き合いは皆には内緒にする様に話し合って決めている。 ただ二人きりでいる時間が前より長くなったという事以外、関係が変わるところはないと思っていたのだがそれは獄寺だけだったのだろうか。 「わからないならいいや。もう帰ろう」 「あ、あぁ」 ちらりとを見つめれば端正な顔が真っ直ぐに前を見つめていて、獄寺はその綺麗な横顔をちらりと見ながら歩みを進めた。 いつだって意志の強い瞳をしているところが獄寺は好きで、その目で見つめられるとどうしていいかわからなくなる。 好きだと自覚してしまえばすっきりとしてしまって、獄寺はそれからを目で追うようになっていた。 「そういえば、隼人その指輪どうしたの?」 「あぁ、ボンゴレリングだぜ?」 獄寺の指に嵌められたごついリングは、元々獄寺の物ではなかったはずでいつからしているのかは覚えていない。 ボンゴレというからには綱吉や山本、雲雀恭弥にも絡んでいるわけで、どうしてこう厄介な事になっているのかとは頭が痛くなってきた。 「ボンゴレ……ねぇ。ツナにも釘さしとこうかな」 「十代目がなんだって?」 獄寺の十代目は今に始まったことではないが、何かと絡んでくるのはただ単に尊敬しているからだけなのか、それともそれ以上の何かが二人にはあるのか。 詮索するだけ無駄なような気がして、は溜息をついて自分の不満を飲み込んだ。 「、てめぇ、十代目に何かつっかかってるんじゃねぇだろうな?」 「俺は綱吉の友達のつもりだけど?いつ喧嘩売ったよ」 そう言いながら獄寺を見ると苦い顔をしていて、どうして最近喧嘩腰になってしまうのか自分で嫌になるときがある。 マフィアの事はその人達にしかわからないことがあるのだろう、自分には入れない疎外感を感じては苦笑した。 「わりぃ。でも、ちゃんとお前には全て終わってから話すからそれまで待ってろ」 「え?」 獄寺はしっかりの瞳を見つめてそう言うと、すぐに目を逸らしてしまったが獄寺の横顔は夕日に照らされて耳まで赤く染まっていた。 「仕方ないなぁ」 くすりと笑いながらそういえば、獄寺はしっかりとの手を握り締めて前を見つめている。 「最初からそう笑ってればいいんだよっ」 結局に出来る事は限られていて、獄寺が何か言ってくるのを待つくらいしか出来ないだろう。マフィアなんて理解は出来ないが、そんな男を好きになってしまったのだから仕方が無い。 「ん、そうする。ちゃんと待つから」 「おう」 ボンゴレリングをかけた戦いはまだ終わってはおらず、またどんな形で皆に被害が及ぶかわからない。 ただその中でも、こいつだけは守ると決めるとこのリングにかけて誓った。 ボンゴレとのために自分は命をかける。 「にしても、隼人は言葉たりないよね」 「は?ちゃんと好きだって言ったじゃねぇか」 「いや、そうじゃなくて」 何か会話がかみ合っていないと思ったが、この手が離れない限り大した問題ではないような気がするのは獄寺の暖かさのせいなのか。 はこの手を離さないと心に決めた。 ー幕ー |