見つめる先には嬉しそうに笑っている家族がいて、女王の番犬と言うヴィンセントの裏の名も嘘のような気がするほど穏やかな雰囲気が漂っている。 暖かい暖炉の近くのソファに座った夫婦と床で遊んでいる子供を見ていると、自分が悪魔だという事が異質な気がしてはするりと部屋から抜け出した。 自分の部屋というものがないはいつもヴィンセントの部屋で寝泊まりをしているが、今は主がいないせいかがらんとしている。 いつも同じベッドでを抱きしめるようにして眠るのがヴィンセントのお気に入りらしく、どんなに仕事で帰りが遅くなっても変わらない習慣になっていた。 机や椅子、テーブルにヴィンセントの姿を思い浮かべて、ここにいないのが悲しくなるが仕方がない。 微かに笑ったその時、いきなり強い力で腕を捕まれてそのままベッドへ投げ出された。 「うぁっ……」 「知っているかい?東洋には姫はじめという行事があるんだ」 頭の上から聞こえた声に驚いて顔を上げると、いつの間にかヴィンセントがいての腕をきつく握っていて痛みに顔をしかめた。 どうして先程まで妻と子に優しく笑いかけていた彼がここに居るのか、それに姫はじめとはなんなのかと問おうとした瞬間にもう唇は塞がれていた。 熱い舌に口腔内を蹂躙されると耐え切れずに濡れた音と吐息が漏れて、ヴィンセントは嬉しそうに笑みを浮かべてを見下ろした。 「んっ……」 白いシャツのボタンを一つずつ外されて、その度に肌に口付けされるとの身体はびくりと反応してしまう。 そんなに笑みを浮かべて優しく全てを剥ぎ取り、ヴィンセントは細い指先での胸をいじり始める。 乳首がぷくりと赤くなる頃にはの中心も立ち上がって、ヴィンセントはそれを見てからちらりとに目を向けた。 キスと胸だけで息も絶え絶えになってしまい、薄く開いた唇は浅い息が絶え間なく続いている。 「まだこれから、なんだけどね。これぐらいで根をあげられても困るよ」 「……っ誰が」 余裕を見せられるのが気に入らなくてが睨みつけるようにそう言った瞬間、ヴィンセントは眉間に皺を寄せて何かを耐えるような顔を見せた。 と思えばの足を大きく開かせて、立ち上がったその中心に舌を這わせ銜えて音がするほどしゃぶり始めた。 「あっ……やぁ」 「どうして君は……反抗しても煽っているのに過ぎないことを覚えなさい」 ヴィンセントの細い指が中心から溢れる蜜を蕾に塗り始め、蕾をかき混ぜられればぬちゃぬちゃといやらしい音が耳に届く。 指を増やされても痛みはなく、快感だけを追っている自分が酷くいやらしく感じて羞恥に顔を染めた。 「あぁっ……」 「どうして欲しい?このままずっと弄られたい?それとも、もうここに入れられたい?」 ヴィンセントはするりと蕾を撫でながらの顔を覗き込むと、びくりと身体を震わせてとろりとした瞳でヴィンセントを見つめるだけで反応を返す事もできない。 一度快感にはまってしまえば抜け出す事など出来なくて、もっととねだってしまう自分をは知っていてヴィンセントもそれを知っているからわざと問いかける。 「っ……」 息を乱した様子も無いヴィンセントを見るたびに、欲しているのは自分だけではないかという危惧が浮かぶが、この男が興味もないものにこんなに執着を示すわけがないと思い直す。 思考に沈んだを諌めるように、ヴィンセントは深い口付けを与えのひくひくと収縮を繰り返す蕾に己の先端をゆっくりとあてがった。 少し慣らされた蕾は奥へ奥へとヴィンセントを招きいれ、はいきなりの挿入に声を上げそうになったが必死に自分の指を噛み締めて押し殺した。 ここで快楽に委ねて声を上げるのはヴィンセントの思う壺だし、いくら部屋が広いからといっても他の使用人や家族に知られるわけにはいかない。 足を上げられている無理な体勢に腿が痙攣のように震えたが、ヴィンセントはするりと撫でると口付けを一つ落としゆっくりと腰を落とした。 「ふ……んっあ……」 「熱い、な。、舌を」 ヴィンセントの熱さと溶けるような快楽の前に思考が音を立てて崩れていくようで、何も考えられず言われたまま赤い舌を差し出すとぴちゃぴちゃと音がするほど絡められる。 いつも冷静で嫌味なほど涼しげな顔をしているヴィンセントがこんなにも激しい一面を見せてくれるのが嬉しくて、が微かに笑みを浮かべるとヴィンセントは耳元で甘く囁いた。 「まだ足りないだろう?」 「うぁ……あっ、あ」 耳たぶに歯を立てられ激しく腰を打ち付けられれば、もう触られてもいないの中心からどろりと白い蜜が肌を濡らすのを止められない。 激しい注挿の後、ヴィンセントが熱い迸をの中に放ったのを知ったのは薄れ行く意識の中でだった。
ふっと息をついたヴィンセントの前には気を失うようにして眠っているの姿があり、風邪を引かないようにそっとブランケットをかけてやる。 こんなに心惹かれるとは思わなかったが、にならばそれもいいかとも思ってしまう。 そっと髪を撫でながら優しく口付けをして、人知れず笑みを浮かべた。 ー幕ー |